【20世紀の遺作「電卓」】

  1. 電卓。本当は電子計算機が、正式名称なのだろうか?まぁ、いいやっ。
  • 今では、会社に当たり前に存在する。100均でも売っており、何の気無しに使っているが、昔々は相当な高級品。
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  1. 結果的にコモディティー化を招いたのは事実だか、見習うべき事も数多い。
  • 第一に、「入力と出力」が、単一の機械で出来ている事だろう。
  1. 数値と演算記号を与えれば、計算機はその結果を返してくれる。
  2. 一部の関数電卓を除けば、数値を入力して、数値で返してくる。
  • 次に、圧倒的な省エネ性能。
  1. 今では、蛍光灯の下でも操作が出来る小さなソーラーパネルでも駆動してくれる。
  • 黎明期はリレーを使って回路を組み、部品点数千数百点と言う数多くのパーツ数で構成されていた。
  1. 参加各社はそれぞれがしのぎを削り、試行錯誤と技術的ブレイクスルーを繰り返して、遍く人々に行き渡る状態になった。これらのブレイクスルーは、後のLSI・液晶など新たな技術要素となっている。
  2. f:id:kamimura0219:20160617182755j:plain
  3. そして、電卓の発展が、本来軍事・宇宙産業の需要や高性能コンピュータ向けの需要が中心だったICに、莫大な民需をもたらし、日本の半導体産業を発展させ、技術を確立させた。
  1. しかし、電卓の事を考えると、複雑な心情を抱かずには入られない。
  1. 確かに、電卓で世界を席巻し、MADE IN JAPANの代名詞となった。
  • 苛烈を極めた価格競争と技術開発の末、諸外国は早々に撤退した。
  1. しかし、彼らは強かだった。
  2. f:id:kamimura0219:20160617183513j:plain
  • 電卓単体から技術の構成要素を分解し、その部品の性能を徹底的に性能と精度を上げて行く。
  • また、市場を広げるべく、汎用性を持たせた。
  1. 結果的にICを高性能化させ、処理性能を上げたLSIの開発に尽力し、それらが世界を席巻する。
  • PCは、Windowsに取って代わられ、CPUはIntelが入ってるのが普通である。
  1. 一方の日本の電機メーカーは、価格低下に伴う生産拠点の海外移転、産業の空洞化、理系進学率の低下、国内の少子高齢化で市場の海外進出。
  2. 上げればキリがない程の憂慮すべき問題点を解決できないまま、此処まで来てしまった様に思える。
  • 物作りの現場では、integral(統合された製品)とmodule(規格品)が良く言われる。
  1. 日本人は、世界進出を謳いながらも、module化に躊躇していたのか?はたまた、このintegralに全てを賭けていたのか?
  • 日本の産業で辛うじて活躍しているであろう自動車産業も、電気自動車と言うmodule化に遭遇した時、太刀打ちできるのか?
  1. 電卓は、数字と四則演算を入力すれば、その結果が数字で帰ってくる。昔はそれでよかっただろう。
  • しかし今は、グラフや平均値、偏差と誤差が知りたいと、人々はPCに向かってExcelを入力する。
  1. とはいえ、PCには欠点がある。まず、入力と出力が分離をしているではないか。演算結果を片手で持てない。
  • 無駄な表示がやたらと多すぎないかっ!はたまた、関数、よくわかんねよっ!
  1. 言いたい事は本当に山ほど有るが、悲しいかな、それらが時代のニーズである事は、間違いはない。