技術よりも、人材像を語れ!

前回の話は、此方のスライドに詳細が書いてあったので、置いておきます。
 
 
時知通信社のニュースより、高卒就職内定率がバブル崩壊前水準に回復した。労働市場がいよいよ回復し、買い手から売り手有利になった、という景気のいい見方もある。
 
 
一方で、バブル崩壊前の環境を考えると、18才の人口構成や大学進学率に開きがあるので、単純な比較は出来ないのでは?という疑問もある。

よくもこんな大ウソがいえたものだ。18歳人口は当時の6割、大学進学率は15ポイント以上増加。バブル期に遠く遠く及ばないというのが実情。

近視眼的な考えではなく、中長期的にこのニュースを眺めると、いよいよ慢性的な人材不足の時代が来たのでは、という危機感を感じずには居られない。
 
現在、日本は人口減少時代であり、少子化と高齢化が並行しながら時代は進んでいる。少子化に伴う大学全入時代と過剰な大学間競争に突入している。一方で、高齢化により新卒者よりも定年退職をする人数が多くなり事態で、企業も人材確保に相当に躍起なっていると推測される。
 
この状態が恒常化すれば、今まで様な「いい大学に入れば・・・」などと言う神話は通用せず、何のために学び、研鑽するという大義が低減してしまう。
「それは、各個人の設定次第では?」という自己責任論はさておき、学び舎を出た彼等の進路が、社会の必然で、より保守的な領域に行ってしまうのは、社会人としての大人の責任である。
 
ここで、2つの著作を紹介したい。
 
1冊目は
 
「データサイエンティスト養成読本 R活用編」である。

 

データサイエンティスト養成読本 R活用編 【ビジネスデータ分析の現場で役立つ知識が満載! 】 (Software Design plus)

データサイエンティスト養成読本 R活用編 【ビジネスデータ分析の現場で役立つ知識が満載! 】 (Software Design plus)

 

 

前作から2年を経て続編が発行された。
今回、購読し感じたのは、最新の技術の紹介をしていた前作だったのが、今回は統計ソフトRを深掘りした内容となっており、如何に実践的に使用するのかと言った所を重点的に記載しているなぁ〜と初学者に分かりやすい内容となっている。一方で、実務者にとっては、物足りない一面もあるのかな?と、勝手ながら思ってしまう。
 
その序論には、データサイエンティストの人材育成のジレンマや分かりにくさなどが書かれている。
技術論だけで片付けられない、組織や社会の無理解や過剰な情報による錯乱も垣間見得たりする。
外部の反応だけでなく、データサイエンティスト当人達の問題発見力やビジネススキルに対する考え方などのコツや、how-to化しにくい暗黙知などが挙げられていた。読破された方々は、どうお感じなのか、より詳細に伺いたい。
 
もう一冊は、文部科学省が発行している
 
「データサイエンティスト育成ネットワークの形成」
 
 
この報告書は、データサイエンティストの啓蒙活動やアンケートの集計報告など、周辺環境の客観的なデータが提示されている。
 
気になった箇所を紹介してみる。
 
まず、キャリアを積みたい理由のアンケートには、「データ分析が好き」や「自分のスキルが活かせる」などが高い支持を集めている。
一方で、「勤務地関係無く働ける」「イメージがいい」「安定した職業」には、殆ど支持が為されていない。
このアンケート結果の裏付けになる、聞き取り調査でも、クライアント(発注者)側のリテラシーの低さが大きな問題と捉えている回答が目立った。特に、『クライアント側では分析ができると出世できない。』と言う一言は、この国の現実かも知れない。
 
また、雇用が何万人創生されるのか?との考察も為されている。資本金1億円以上の企業が3万社ほど有るのでそれ位、つまり、3万人位なのでは?と予測している。なかなかな人数で有るが、賃金ベースで試算すると、常用の雇用で3兆円市場に成らなくては維持し続けられない。この金額そのものとは流石に言えないが、それ位のスケール感を持って、今後を考えて行きたい。
 
まだまだ始まったばかりの業種でありながら、人口減少社会の荒波にどう抗い、裾野が広がる動きが形成されるのか?多くの人々に考えてもらいたい問題である。でも、唯一の希望は、どなたでも参加できるという、オープン性なのでは?と想いは深まるばかり。